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あれは、雪の積もった日の出来事だった。
冬休みに入って間もなくの日曜日の早朝。目が覚めると、私はすぐに身震いした。
「さ……寒いよぉ……」
いくら冬だと言っても、これではいくらなんでも寒すぎる。それに加え、窓から差し込む光がいつもより明るく、外はしんと静まりかえっていた。もしやと思いカーテンを開くと、そこは辺り一面の銀世界。
「雪だ雪だ雪だぁーっ!」
テンションが急に上がった私は慌てて跳ね起き、母と姉を起こしに向かった。まだ6時前だろうと関係ない。この身体の奥底から湧き出る喜びと、胸の高鳴りを今すぐ誰かに伝えたい!
「雪だよ雪ゆき雪ユキーっ!」
暴走特急と化した私はもう止まらない。家中をドタドタと走り回り、ひたすら叫ぶ。
「黙れバカ……」(姉)
「ハイハイハイ……」(母)
2人のどうでもいいよ的な冷めた態度も全く気にならない。私は早速パジャマの上にジャンパーを羽織ると、まだ誰にも踏み荒らされていない庭へと飛び出していった。
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