ことの始まり

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例年にも増して猛暑の夏。 大阪の北部に位置するベッドタウン。 冷房の効き過ぎたファミリーレストランで、ドリンクバーだけを注文し、賑やかに話す3人組。 志穂は中学生の頃からの親友である、希美と由佳の3人で海水浴の予定を立てていた。 「私が車を運転するから、ちょっと遠出して和歌山まで行こうや」 志穂が目を輝かせながら2人に提案した。 志穂は18歳で免許を取った。 方向音痴ではあるものの、20歳になった今では運転歴2年を迎え、運転技術には多少の自信があった。 「でも志穂にだけ運転してもらうの悪いし…それに、車はどうするん?」 慎重派の希美がアイスティーを飲みながら聞いた。 「私の彼氏がステップワゴンに乗ってるんやけど、貸してくれるって言ってたから、大丈夫」 志穂は、何も問題はない、と言わんばかりの笑顔を見せた。
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