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「旅行行きたいね。そろそろ付き合って一周年だよ」
「…ん?ああ、そうだな」
二人の出会いは、江戸の通達が通う闇鍋屋「冥界の入口」だった。
取組後に、付き人と食事に来ていた木村と、友人の義太夫と初めての闇鍋を体験に来ていた板前が、「冥界の入口」のスペシャルコース、「知らない人との危険な闇鍋」で相席した事がきっかけだった。
「ワイハー行くか」
「うん」
「それも今すぐ」
「え」
「泳いで」
「ええ」
思い立ったらすぐ行動。当時の江戸は、蕎麦は三分以内に食べるのが当たり前だったし、ワイハーは行きたい内に行くのが粋な江戸っ子達の共通認識だった。
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