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板前の唇が、魔法のルージュでエキゾチックなパープルに塗ったかの様に紫がかり、イ・ケ・ナ・イ感じになってきた時に、二人の泳いでいる水面を一筋の光が照らした。
「んだあ?二人して、こんなとこで水遊びか?」
この時期は、船の光につられて、イカが大量にとれるらしく、イカ漁船が二人の近くを航行していた。
「んがっふ、ちょ、ワイハーまで、およ、いで」
「んだあ、泳いでワイハーかあ?しゃあねぇ、オラたちもワイハーにイカを下ろしにいくところだ。乗ってけ」
「んがっふ、かたじけない」
そして、二人は、漁師の船にヒッチハイク(救助)してワイハーを目指す事にした。
後に、板前はこう語っている。
「漁師のオッサンが、カジキを釣り上げた瞬間の松方ひろきぐらいかっこよくみえた」と。
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