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クサイハナはボーっと空を眺めていた。
「…どうしたのクサイハナちゃん。」
クサイハナが振りかえるとそこにはイーブイがいた。
「なんか苦しくなっちゃって……」
「なんで?」
イーブイが怪訝そうに聞き返す。
「イーブイちゃんは良いよね……色んな人間やポケモンにちやほやしてもらってて。私はいつもみんなから嫌われ者……」
「僕はそんなにちやほやされてないよ!」
イーブイが慌ててクサイハナに言う。
「そんなこと無いよ。イーブイちゃんはいつも可愛がられる。見かけたら誰もが自分のポケモンにしたがる。でも私は……たまに草むらで人間にあっても彼らは見向きもしない。挙げ句の果てにポケモンバトルをさせられる……それに学者だって!!私達のことを「クサイハナ」なんて呼び名を付けたのよ!!」
クサイハナはイーブイに食ってかかる。
イーブイは何も言い返すことが出来ない。
「私はいつまでも汚い花なのよ!!人間は悪いことをしてないのに生えている草を雑草と呼んでむしりとり!!綺麗な花はちやほやする!!どうせ珍しかったり!可愛かったりするものが!人気があるものなのよ!!私は悪いことしてないのに……」
クサイハナはイーブイに言う言葉を止められ無かった。
いつもちやほやされるイーブイが憎かった。
「………!!」
イーブイはクサイハナの言葉を聞くと逃げ出していった。
「どうして私達だけこんなめに会わなきゃいけないの……」
クサイハナは自らの不幸を呪って一晩中泣いた。
「クサイハナちゃん……」
振りかえるとそこには……
「……どうしたのイーブイちゃん!?」
血を流しずたぼろになったイーブイがいた……
「ごめんね……僕はクサイハナちゃんの気持ちを分かって無かったよ……ずっと苦しかったんだよね……」
そう言うとイーブイは何かをクサイハナに渡した。
「これは……?」
「リーフの石って言うんだ……それを使えばクサイハナちゃんはラフレシアってポケモンになる。臭い花なんて言われなくなるんだよ。」
「え……?」
「いたぞ!!デパートからリーフの石を盗んだ泥棒イーブイだ!!」
不意に人間の声が聞こえる。
「じゃあねクサイハナちゃん!!」
イーブイは走っていった……
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