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会場を出ると大量の雨が降っていた。
「あーーあ…。最悪だな。」
川崎がダルそうに歩き出す。
「川崎君。」
守口の言葉に立ち止まる川崎。
「何で椿野に行こうと思ったんだ?
渚のプレーに圧倒されたのは分かる。俺もそれを見せる為にここに連れてきた。
でもあんなに行かないと言い張っていたのに。」
「…んな風に……たいって」
川崎の言葉は雨音で守口には届かなかった。
「何だって?」
すると川崎は更に大きな声でこう言った。
「あんな風になりたいって思ったんですよ!!
椿野へ行って、強いプレイヤーと練習して、……そして……、
いつかあの人を越えて、エースになりたいんです。」
その顔は自信に満ち溢れていた。
守口はその言葉に呆然としたが、直ぐにニヤリと表情を変えた。
「そうか。楽しみにしているよ。君がいつか、椿野のエースの座を掴むのをな。」
川崎もフッと笑い、守口に頭を下げた。
そして雨の中去っていった。
(頑張れよ…!!川崎…!!)
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