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二人は急いで疑惑のトイレに向かい、危険物を捜し始めた。
いつ何が起こるのかも分からない瞬間だったが、意外にも二人は冷静に作業を進めている。
くまなくトイレ中を捜しまわったが見つからない。
さすがに二人とも少し焦りが見え始めた。
「しかたない。」ダイはそう呟くとお得意の感覚を使おうと考えた。
ダイは常人よりもかなり五感が優れていたが、特筆すべきは、その第六感にあった。
今日まで、これだけを頼りに生きてきたのだ。
目を瞑り、思考を停止させる。
空白の時の中、すこしずつイメージが浮かび上がる。
暗闇にデジタル時計・・・
隙間から差し込む微かな光・・・
“手摺だ”
ダイは、そう思うとすぐさまマーカスを遠ざけドライバーを片手に静かに手摺を取り外した。
手すりの蓋をドライバーで開けると、中から何やら小さな起爆装置と火薬類が出てきた。
ダイは、慣れた手つきで起爆装置のラインをショートさせない様に切り離した。
「ほっ」
一瞬だけ溜め息をつき、火薬を水に流す。
起爆装置は細かいパーツに分けポケットに入れた。
トイレを出たダイは静かにマーカスに近づき、こう言った。
「ごめん、大丈夫!何も入ってなかったよ。」
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