ある星が綺麗な夜

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ある星が綺麗な夜

夏休み。我が家の恒例行事だったのが山奥にある父方の実家へ遊びに行くこと。場所は石川との県境。山間の小さな集落のため過疎化が進んでおり、集落から一歩外れると民家など一つもなし。売店は小さな個人商店が集落の中に一つ。もちろん夜間営業なんてしない店。前近代的、そんなノスタルジックな場所。因みに今でも携帯電話の電波は一社を除き届いていない。そんな場所だから、もちろん夜になると深い深い暗闇に覆われてしまう。人口の明かりなどない、そんな場所。   時はお盆近く。その晩は従兄弟たちと花火をする予定だった。飼っていた犬を怖がらせるわけにも行かないので近くの道路わきの広いスペースに移動。ちょうど、例年、北東の空にペルセウス座流星群が訪れる夜だった。そのためだろうか北東の山の合間から一筋の流星が通り過ぎた。従兄弟たちも見ていたのだろうか、皆で、 「お願いは何にしようか?」 「見れなかったー。」 などと、花火をする予定はどこへやら、嬉々として先ほど流れ星が流れた方角の空を眺めていた。   結局しばらく待ったものの流星は現れなかったので自分たちは花火を開始した。20時30分ごろだったと思う。真っ暗闇の中に様々な色の光が飛び散る。そんな光景と些細な悪戯を楽しんだ後、再び天体観測を始めた子供たち。 「まだ来ないかなー。」 「来ないねー。 大きくなってから知ったことだが、ペルセウス座流星群のピークは午前の2時ごろ。偶然だったのかも知れない。 待てども待てども来ない流星。協調性のない自分。いつしか反対側の山の切れ間を眺めていた。 「アッチの山にたくさん落ちてっているよ!!」 見つけた自分は目を輝かせながら従兄弟たちに伝えた。本当に其方の方向に流星が落ちていった。満足した自分は眠い目をこすりながら帰途へと着いた。   しかし今になって考えて見るとどうもおかしい点がある。まず、方角がそうだが、一瞬で流れるはずの流星を反対方向を眺めていて自分の声で振り向いた従兄弟たちが目撃できている。そしてまだ続きがある。   一人後ろを向いて帰り道を歩いていた自分は「流星が4個、ゆっくり空に登っていく」ところを眺めていたという事実。   謎の流星の見えた場所はUFOの町、羽咋市の方角。未だに正体は分からないし、あれ以来見たこともない。ただ、宇宙人がいるかは別としてあの辺りには知られていない現象があるように思う。
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