暗森の孤狼

10/12
前へ
/28ページ
次へ
  ――――あぁ、そうだ。   この獣は父さんなんだ。   森に行ったっきり帰ってこなかったのは、こうして森に棲みついてしまったからなんだ。       そう唐突に理解してしまうと、もう。   怖れるものはなくなった。   僕は微かに笑みを浮かべ、その飢えた獣に向かって両手を広げる。       「――――おいで」  
/28ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1人が本棚に入れています
本棚に追加