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道という道のないノルン王国の郊外、国境付近を歩く陰が二つ。
ザクザクと重たげなブーツが砂利道を進む。
それの後をサクサクと先のそれとは違った軽い革靴の出す音が続いて聞こえる。
「何だってこーんなカス任務持ってくんだこのひょろ長」
荒々しい口調だが声の主は女だ。切れ長の目―言ってしまえば目つきが悪い。長い金髪を無造作に後ろで束ねている。黒のジャケットにダメージパンツ。足下は頑強そうなブーツが見えるが、何より目立つのはその背中に背負った、女の身の丈に達するほどの大剣だ。
「…先輩方直々の任務を、カス……ねぇ…?」
もう一つも女の声。真っ黒い艶のあるショートボブで、すらりとした長身を何故か黒スーツで包んでいる。ネクタイを緩めているが、皺一つ無いスーツの中にはガンホルダーが見え隠れしていた。
「報告書に書いておくよ、セラ」
「ちょ…、は?せ、先輩方のだぁ!?聞いてねぇぞヨナ!」
明らかに焦る大剣の持ち主―セラ。
無表情で焦るセラを追い抜き黒スーツの女―ヨナはスタスタと先を急いだ。
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