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「やだよ」
彼を手放したくない。
「別れたくない」
こんな私を受け止めてくれるのは彼だけ。
「うぅ……」
私の心を後悔だけが埋め尽くしていく。
――戻ろう。もう遅いかもだけど、ちゃんと私の気持ちを伝えよう。
そう決意した時、俯いていた私の視界に私以外の影が写った。
「見つけた」
続けて聞きたかった声が耳に入る。
見上げると彼が息を切らせて立っていた。
「お前なぁ。探したんだ……」
「ごめんなさい」
彼の言葉を待たず、私は彼に勢い良く抱きついた。
「ごめんなさい。私冷静になって考えみたの。そしたらあなたが愛想尽かすのも当たり前だって思った。彼女の方が素敵なのも分かってる。でも私にはあなただけなの。だから別れるなんて言わないで。私頑張るから」
彼から伝わる温もりを感じながら私は必死に縋った。
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