『あなただけ 君しか』

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 私の反応に彼は驚いているけど、驚いたのは私の方だ。    ――私の知らない間にこんな事になってるなんて。    彼には親友である彼女を紹介した。  その後何回か三人で飲みに行ったりした事もある。    でも携帯番号を交換している素振りはなかったし、交換したら私に言うのが筋だろう。  それにさっきの電話の様子だと二人で会ったりしているみたいだ。    『浮気』    私の頭にこの二文字が浮かぶ。  しかも相手は私の親友。    確かに彼女は美人だし、気もよく利くし、私なんかより全然女らしい。    でもこんな裏切りがあるだろうか。   「おい」    何も言わない私に痺れを切らしたのか、彼は再び私に呼び掛ける。  とても優しい声で。    優しい声だが何とか私をなだめようとする為なのがバレバレで、落ち着くどころか更に私の怒りは増す。    今の私は彼と親友の裏切りに、気持ちが怒りと悲しみでグチャグチャだ。  でも泣くのは悔しくて涙が出そうになるのをグッと堪える。
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