『あなただけ 君しか』

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 彼と出会ったのは約一年前、だった気がする。  バイト先の本屋でだった。    私が新人で彼が教育係。  よろしくね、そう言って笑う彼の笑顔に一目惚れしてしまった。    それから彼へのアタックが始まった。    まずはメアドを入手し、さり気なく彼の情報を収集。    正直それまで本と言えば漫画か雑誌しか読まなかった私が、彼が好きだと言う推理作家の小説を読破した。    ワンピースって可愛いよな、って言うバイト仲間との会話を聞いて、今まで着たことがなかったワンピースを買ったりもした。    そうした努力の甲斐あってか、ようやく二人で遊ぶ約束を取り付けた。    なのに当日は嬉しいのに緊張の方が勝ってぎこちない私。  でも彼はそんな私を優しくリードしてくれた。    私は益々彼に惹かれた。    それからは二人でよく遊ぶようになり、二ヶ月経ったある日、私は彼に告白した。    いいよ、って言う彼の返事に私は今までにないくらいのガッツポーズを心の中で決めた。
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