愛しくて

5/5
10人が本棚に入れています
本棚に追加
/5ページ
携帯が着信を伝える 『ごめんね   ちょっと待ってね』 その子を下ろそうとする その子は私にしがみついた 『お母さんの甘い匂い お母さんの温かさ だっこ嬉しかったよ』 とつぶやいた (えっ…?) その子は元居た桜の木の下に走って行った お迎えが来たのかなと私はその子をみた その子は言う 『私 一羽っていうの   桜お母さん大好き💓 またね💓』 携帯の着信音は鳴り止んでいた 私は一羽のほうをみた 誰も居ない 携帯にも着信記録はなく アラームさえかかって居なかった 一羽はきっと 私の子 会いに来てくれたんだね またね またいつか抱き締めさせてね 一羽 まだ散るはずの無い桜の花が数枚風に乗って行った
/5ページ

最初のコメントを投稿しよう!