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携帯が着信を伝える
『ごめんね
ちょっと待ってね』
その子を下ろそうとする
その子は私にしがみついた
『お母さんの甘い匂い
お母さんの温かさ
だっこ嬉しかったよ』
とつぶやいた
(えっ…?)
その子は元居た桜の木の下に走って行った
お迎えが来たのかなと私はその子をみた
その子は言う
『私 一羽っていうの
桜お母さん大好き💓 またね💓』
携帯の着信音は鳴り止んでいた
私は一羽のほうをみた
誰も居ない
携帯にも着信記録はなく
アラームさえかかって居なかった
一羽はきっと
私の子
会いに来てくれたんだね
またね
またいつか抱き締めさせてね
一羽
まだ散るはずの無い桜の花が数枚風に乗って行った
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