第一章 保護者教師

6/29

99人が本棚に入れています
本棚に追加
/173ページ
内海という保護者が学校に乗り込んできた日から既に一週間が過ぎていた。 あの日、思いもよらない方法で内海のクレームを対処した神谷だったが、それ以降はいつもの神谷に戻っていた。 毎晩のように飲み明かし、キャバクラに通い、保健の細川先生を追い掛けていた。 神谷はことあるごとに僕の都合を無視して色々な所に連れまわしたが、いつの間にか僕は神谷の不思議な魅力に魅了されていた。 だけど、この時僕はまだ本当の神谷という男をまるで理解していなかったんだ。 僕は高等部の担任を任され、生徒達にも大分慣れてきていた。 僕のクラスは得に問題も起きず、平穏な日々が続いているように見えた。 だが、それは大きな間違いだった。 このクラスの生徒達は大きな問題をいくつも抱えていた。 やがてその問題の数々は津波のように僕の前に押し寄せる事になる。 その問題に直面した時、僕は必至に生徒と向き合い、問題を解決しようとした。 だが、それでは本当の意味で問題を解決する事は出来なかった。 生徒達の本当の問題を解決するには両親や保護者、生徒達に関わる大人達を教育する必要があったのだ。 だが、そんな大人達を教育するには並大抵の努力では済まなかった。 相手は大人の皮を被ったモンスターなのだから。 そんなモンスターを相手にできるのは神谷達MPBだけだったんだ……。 そして、ついに初めの問題が起ころうとしていた。 クラス一の秀才 会田 恵。 一見、何の問題もなさそうに見えた彼女は、実はとてつもない大きな問題を抱えていたのだった……。 【続く】
/173ページ

最初のコメントを投稿しよう!

99人が本棚に入れています
本棚に追加