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「会田、今日も体育は見学なのか?」
廊下で制服姿の会田とすれ違った僕は声を掛けた。
「はい。体調が悪くて……すみません」
「いや、別に謝ることはないんだけどさ……」
「あ、見学ですけど授業始まっちゃうんで失礼します」
そう言って会田は足早に立ち去って行った。
「見学なのに真面目だねぇ……」
いつの間にか僕の後ろに神谷が立っていた。
「……神谷先生」
「なぁキクリン、次の時間授業ないだろ?ちょっと手伝ってくれないかな……」
そう言って神谷は僕を外へ連れ出した。
神谷は僕を連れて駅の方へ歩いて行った。
「神谷先生、一体どこまで行くんですか?授業はなくても色々と仕事が溜まっているんですよ」
気がつくと僕らは駅前の繁華街の中を歩いていた。
「あ、着いたよ。ココ、ココ……」
「!!?」
そう言って神谷が入っていったのはパチンコ屋『ゼイラム』だった。
「おお、やっぱり出てるね~」
そう言って神谷はどんどん奥へ進んでいき、空いている台の前に座ると、金を入れて打ち始めた。
「キクリン、何突っ立ってんの。早くて座って打ちなよ。今日は出るよ」
「……冗談じゃないですよ。手伝ってくれって言うから何かと思えばこんな時間からパチンコですか?あなたは校長とどんな契約をしてるのか知りませんけど、僕はあなたみたいに自由じゃないんです。僕は帰りますよ」
「あれ、キクリンパチンコやらないの?スロットの方がよかった?」
「……そういう問題じゃないでしょ!」
僕は神谷に怒鳴り散らし、出口に向かって歩き出していた。
「待てよキクリン。じゃあ、あれならキクリンも興味持つかな?」
苛立ちながら僕が振り返ると、神谷はさらに奥に座っている一人の男に視線を向けていた。
「あの人がなんだっていうんですか?また適当な事言ってごまかそうとしたってそうはいきませんよ」
「アイツの名前は会田剛。キクリンのクラスの会田恵の父親だよ……」
「あの人が会田の父親……?」
「さらに言うと会田恵が毎回体育を休む理由がアイツにあるとしたら……キクリンどうする?」
「……え?」
僕はいつの間にか神谷の話に引き込まれていた。
【続く】
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