さらば!紫雲寮生。そして新たな旅立ちへ…。

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一月三日の日、その日の俺はソワソワしていた。 そして見るもの全てを目に焼きつけていた。 そんな俺に滝下先生が言った。 「岡田。荷物まとめとけ。」 そう。この日は俺の激励集会の日なのだ。 わかっていた。 今日が紫雲寮で最後の日になるという事を。 でも…前から覚悟をしていても泣き出しそうになる。 外に出れて嬉しいはずなのに…。 俺は荷物をまとめながらこの少年院生活を振り返っていた。 保留になった事、反抗した事、水泳大会、コーラス大会、そして寮生一人一人との思い出…。 俺は本当に思った。 この少年院に入って良かったと。 始めは考え方も無茶苦茶。 あの時の俺ならまた誤った道にそれて罪をおかしていただろう。 確かに辛い事は一杯あった。 失ったものも一杯。 だけどそのおかげでたくさんの事に気付く事ができた。 だから俺はもう後悔もしなければ、二度と同じ過ちを犯さない。 俺はこの和泉学園に先生達に、そして紫雲寮生に本当に感謝した。 そして荷物をまとめ終わり皆の前に立った。 そして始まった。 ついに俺の激励集会が………! 「あの時励ましてくれてありがとう。」 「岡田君は本当に不器用でした。でも誰よりも努力していました。」 「岡田君の発言力はすごかったです。」 「堂々としていてかっこよかったです。」 俺は嬉し過ぎて泣き出しそうだった。 誰も認めてくれていないなんて間違いだ。 こんなに皆俺の事を認めてくれていたのだ。 そしてほとんど皆が俺に言ってくれた。 「そんな不器用な岡田君が大好きでした。」と。 何一つ任されず、世話役にすらついていないのに、こんなに皆に思ってもらえて俺は幸せだ。 そして俺も同じだ。 お前ら紫雲寮生は俺のかけがえのない最高の仲間だ! 俺もお前らが大好きだ! この少年院生活、そしてお前らを絶対に忘れない! 今まで本当にありがとう!! 感謝の気持ちでいっぱいだ! そして俺も一人一人に別れの言葉を伝えていった。 俺が言える事全てを精一杯に。 そして最後に滝下先生からの言葉だった。
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