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「岡田には先生達皆特別に厳しくしてきた。普通ならへこたれて終わってしまってるはずや。でも岡田はそれをも吹き飛ばして厳しくされるほど成長していった。本当によく頑張ったと思う。おめでとう!」
俺はその言葉を聞いた瞬間涙した。
怒られてばかりだった滝下先生に初めて褒められたのだ。
本当に嬉しかった。
そして俺はたくさんの拍手を浴び寮を去っていった。
俺は本当に紫雲寮で良かったと思う。
本当にこいつらと離れるのは寂しい。
だけど祈っている。
紫雲寮生全員が更正し幸せになる事を………。
こうして俺の紫雲寮生活は幕を閉じた。
だが仮退院式は二日後だった。
その間は単独室で仮退院の手続きとこれからの決意などを書かなければならない。
俺は今まで少年院で学んだ事を思い出し、これからの決意を書き綴った。
そして更正する事を心に誓った。
そして仮退院式の前日、俺が仮退院の手続きの書類を書いていると「たぁくちゃん。」という声が聞こえた。
俺は笑った。
目の前を見ると黒田先生が最後に俺に会いに来てくれたのだ。
「へへへ。お前もとうとう仮退院かぁ。本間にお前は不器用やったなぁ。お前は兄貴とは全然違ったわ。でもなそれをわざわざ比べる事はない。十分お前には兄貴とは違う良い所が一杯あるから。すぐ何でも比べる所がお前の悪い所や。でもお前は本間にあぶなっかしいから正直心配や。素直に生きるのはいい。でも損な道ばっか選んでたらアカンぞ。不器用なりにも力強く生きていけ!俺は本間にお前の幸せと更正を願ってるわ。担任の西川先生もお前の事ずっと考えてたわ。でも言ってたぞ?お前と仙田のアホ二人がおらんくなってこれでやっと楽になれるって。」
俺は笑った。
そして黒田先生は俺の前に手を出した。
「お前らとのコーラス大会最高やったで!」
俺はその手を両手で固く握手した。
これが最後になる。
そして今までありがとう。
俺は涙でびしょびしょだった。
そしてその手を離さなかった。
黒田先生がいなくなった後、俺は泣きながら最後の日記を書いた。
いつもは1ページしか書かない。
だがその日だけは6ページも感謝の気持ちを書き綴った。
そしていよいよ明日だ!
俺の仮退院の日!
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