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少年院に入って俺は確かに変われたと思う。
だが俺の周りは変わる事はない。
やはり俺にはいろんな誘いがあった。
そんな事は始めからわかっていた事。
当然俺は断り続けた。
そんな友達とは縁を切ればいい。
そうも思っていたが半年前まで一緒に悪さをしてきた悪友とはどうしても断ち切る決意ができなかった。
何故なら悪友ではない方の普通の友達とは少年院を出てから全く遊ばなくなってしまったからだ。
俺がいない間に皆は彼女に入り浸り、仕事に精を出し、半年前は毎日遊んでいたはずが今では月に一度程度しか遊ばなくなったからだ。
俺は寂しがりや。
俺は一人になる事ができずどうしても悪友の所へ遊びに行ってしまうのだ。
その生活ははるかに辛かった。
俺一人だけが何も悪さをしない。
だが俺の目の前で数々の犯罪が繰り広げられる。
そして誘いがある。
俺はひたすら拒み続けた。
だが俺にもまだ不良の気持ちが残っていたのだろうか?
俺は拒み切れずまた罪を犯してしまった。
俺はその日絶望した。
更正すると心に誓ったのに…。
それからの俺はいつも拒むが拒み切れない時はまた罪を犯してしまうようになっていた。
だが頭には常に少年院での日々が思い浮かぶ。
もう気が狂いそうだった。
自分の手が汚れていく度に俺は良心にさいなまれるのだ。
辛くて逃げ出したかった。
だがこんな事誰にも言える訳がない。
今の自分を親が知ったら?
紫雲寮生が知ったら?
先生が知ったら?
俺が今やっている事は皆を裏切るという事だ。
俺は生き方に迷っていた。
このまま良心にさいなまれないよう良心を捨てまた不良として生きていくか、不良仲間と全て縁を切り本当に真面目に生きていくか。
そのどちらかにしか道はなかった。
だが俺には選ぶ事はできなかった。
もしまた不良に戻ればあの少年院生活は全て無駄になり意味のない半年間となってしまう。
俺は果たしてそれでいいのだろうか?
俺は当分悩まされ続けた。
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