3537人が本棚に入れています
本棚に追加
/163ページ
俺はあゆみとさよならする前に一つだけ気になる事があった。
それは俺と付き合っていた時から頑張って勉強していた大学に受かったかどうかだった。
俺はその事を聞いた。
「最後に一つだけ聞かしてくれ。お前大学受かったんか?」
するとあゆみはボソッと「受かった…。」と言った。
俺は嬉しかった。
そして最後の言葉を言った。
「そうか。良かったな。頑張ったやんけ。じゃあ俺もうお前に一生かける事はないから。今日で俺とお前は完璧に終わりや。これから男と仲良くしろよ。じゃあな。」
彼女はまだ沈黙だ。
だから俺はもう一度言った。
「じゃあな!」
それでも無言。
そして最後に「じゃあな!バイバイ!!」と言って電話を切った。
最後は精一杯優しくしたつもりだった。
だが自然と吐き捨てるような言い方になっていたと思う。
電話を切った瞬間俺は思った。
俺は何て最低なんだ!
彼女が一体何をしたというのだ!
悪いのは全て俺の方じゃないか!
俺は最後の最後にこんな言い方をしたのを本当に後悔した。
だが正直その時はこう思った。
どうせもう過去の女。
また新しい女を見つければいい。
もうどうでもいい。
そう思っていたのだ。
いや。強がりな俺はそう思いたかっただけなのかもしれない。
それからはあゆみを忘れ生活していた。
始めの内はあゆみの事なんて気にもならなかった。
だがある異変に気付いた。
寂しい時やふとした時にいつも必ずあゆみの事を考えてしまうのだ。
そしてそれだけではなく他の女といる時でさえあゆみの事を考えたり比べたりしてしまった。
何故だか俺は寂しくてたまらなくなった。
俺はあゆみを忘れるためにいろんな女と遊んだ。
だが他の女と抱き合っていても俺はその女を抱いているのではなく頭の中ではあゆみを抱いてしまっていた。
俺はその時やっとわかった。
俺はあゆみが本当に好きだったんだと。
もう俺は強がってもその気持ちを消す事はできなかった。
最初のコメントを投稿しよう!