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あゆみに何度も連絡したいと思った。
だが番号も消してしまっているし一度もう連絡しないと言った以上自分の言った事は曲げたくなかった。
俺はその時ほど強がりで意地を張る自分の性格をうっとおしく思った事はない。
そんなある日あゆみの噂が耳に入ってきた。
それは俺にはたえがたい事実だった。
あゆみは俺がいない間に他の男とやり、その男には彼女がいたらしくあゆみはその彼女にボコボコにされ何日も入院させられたというのだ。
しかも今のあゆみの彼氏はその時の男なのだ。
俺は驚いた。
そんな無茶苦茶な話があっていいのだろうか?
俺はその男を許せなかった!
俺は本気でブチ殺してやろうかと思った!
もうそいつを殴るならまた少年院に入っても悔いはないと思っていたほどだ!
だけど一体それをして何になる?
そんな事をしてあゆみが喜ぶだろうか?
違う。
あゆみはそんな事をしてもただ悲しむだけだ。
だが俺のこの感情は抑えられない。
あゆみはもう考えられないほどボコボコだったらしく何度も頭の中で想像してしまった。
そしてその度に鳥肌が立ち、怒りが込み上げてくるのだ。
だが俺の怒りはその男に対してだけではない。
あゆみを守れなかったこの俺自身にもだ。
俺が入っていなければこんな事にはなっていなかっただろう。
俺は自分自身を責め続けた。
喧嘩が強い、有名、権力がある。
だがそんなもの捕まっていれば何の役にも立たない。
俺達不良は自分の女を守る事すらできないのだ。
不良なんてくだらない。
俺は絶望した。
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