出生

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そんなカメラマンの父の事だ。そんじょそこらの親馬鹿には負けません。 アルバム整理こそしていないモノの、私や兄達の生まれたばかりの時の写真をそれこそ仕事しろよ! …と、突っ込みたくなる程撮っていた。 時には父の仕事机の上に乗り、仕事机の上をハイハイする私。 時には仕事机の上に乗り、父の電話で遊ぶ私。 今考えると子供とはいえ命知らずな行為だ。 それを叱るでもなく喜々として写真に納める父。 ご機嫌な顔の私、 ご機嫌ななめな顔の私、 泣顔の私。(写真撮ってないであやせよ) お尻丸出しで踊っている兄、 何故か全裸でバケツにすっぽりとハマっている兄。 箪笥の頂上を制覇してみたかったのか、引き出しを階段にし、箪笥に登る兄。(だから見て無いで止めろよ) とにかくたくさんの顔の私と兄が居た。 写真越しにでも、父の娘や息子への愛が伝わって来た。
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