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何時ものように、
名残惜しみながら祥と別れると後ろから声をかけられた。
「…沙羅。」
振り返ると母が壁にもたれながら自分を呼んでいる。
沙羅は、母親に近づきながら返事した。
「どうしたの?」
母は、微笑みながら尋ねる。
「……祥のこと好きなんだよね?たとえ…何があっても……」
沙羅はそう聞く母親を不思議に思いながらも、
可愛い笑顔を見せてはっきり言った。
「もちろん…大好きっ!」
沙羅の笑顔を見て少し母の顔が陰った気がしたが、
それは一瞬のことで母は笑い返しながら言った。
「…そっか。」
沙羅は気のせいかなと思い、
うん。
と頷き自分の部屋に向かって階段を上る。
沙羅がいなくなると母は一人ため息をついて呟いた。
「……ごめんね。」
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