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2.生きるための嘘
ごめんなさいお父さんお母さん。
私はとても悪い子です。
大好きな兄さんに、嘘を吐いてしまったのです。
「ユキは好きな人いるのか?」
「やだなぁ、そんな人いないよ」
「あっはは、そうだよな。全っ然色気ないもんなー」
「余計なお世話ったら!」
「わっ、ごめんごめん!そっか、まだいないか」
「そう。まだ好きな人なんていないよ」
まだ(兄さん以上に)好きな人なんてい(るはずが)ない。
言えない言葉は日々増えて、貴方との距離を自覚する。
でもね、生きていくために、この嘘だけは貫き続けるの。
貴方と少しでも長く、一緒に生きていくために。
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