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5.あの時いえなかった、『終わりの合図』
「やっと、見つけた」
「アタカ…」
「リト、俺さ、お前をずっと探してたんだ」
「なん、で?」
「だって言ってなかった。言えなかった。なのにお前は急にいなくなっちゃうし。薄情な奴め」
「べ、別に私が引っ越したかったわけじゃ…」
「リトのせいじゃないのは分かってるよ。ただ、俺もお前も、そのせいで前に進めなかった」
「前に、進めない?」
「な、リト、俺を思い出したりした?」
「う、うん。毎日思ってたよ…三年間、ずっと」
「俺もなんだ。だから必死に探してた」
「アタカ、私ね」
「リト、リト…だから俺、お前に言うために此処まで来たよ。あの時言えなかった、から」
「私、私ね、アタカが」
「さよなら、リト。終わりの合図は俺から出そうって決めてたんだ」
さよなら、小さな恋心。
数え切れないほど恋しい日々に、終止符を。
今度は二人別々に、前に進んで行こう。
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