本屋

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 中学最後の夏休みといっても、何が変わるというわけでもなく、なんとなくいつもの夏が過ぎていった。  インドアというわけではないけど暑いのが嫌いな俺は、自分からどこかへ出かけようとはしない。  結局は、由貴やクラスの友達に誘われてしぶしぶ出かけることになるけれど。  そうやって、中学最後の夏をただ何をするわけでもなく遊んで過ごしていた。  クラスの中には、高校受験に向けて夏からガリガリ勉強している奴もいたけど、特に行きたい高校もない俺はそいつらをどこか冷めた目で見ていた。  父親や母親は、姉の恵のように有名進学校へ行くように顔を合わせば、毎回のように言ってきたけど、行く気はサラサラない。  勉強はめんどくさいし、言いなりになるのは嫌だった。  多分、家から一番近い桜ヶ丘高校を受験するんだろうな、なんて漠然と思っていた。  由貴も桜ヶ丘だと言っていたから、下手すれば11年間の付き合いになる。それはそれで、結構めんどくさい。  とにかく、そうやって漠然と過ごしていた俺は、あの日会った気持ち悪い昆虫の模型を集めている変な女のことなんて、すっかり忘れていた。
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