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モック…瀬野美月…。
……思い出した。あの気持ち悪い昆虫の模型を集めている変な女か。
俺が何か気付いた顔をすると、瀬野はにこりと笑った。
「思い出した?」
「まあ……」
よかった、と笑う瀬野はきょろきょろと辺りを見渡して、俺に話しかけてきた。
「今日は岡本君は一緒じゃないんだ?」
「そうだけど。つか、別にいつも一緒なわけじゃないし」
「まあ、それもそうだね。何読んでるの?」
めんどくせえ。
何読んでようとあんたには関係ないだろ。
瀬野はデカいつり目がちの目でこっちを見てくる。それは、あのとき一緒にいた北なんとかって女みたいな上目遣いというより、むしろガン付けられている気分になった。
「その雑誌、載ってる服いいけど高いよね」
「勝手にみんなよ」
「なんで? それ藤嶋君のじゃないでしょ」
…………。
瀬野は同じ雑誌を手にとると、ぱらぱらとめくり出した。マジでなんなんだよ、こいつ。
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