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「やっぱり高い……こんな服のどこにお金かかってんだろ。というか、これ買う人いるのかな……なんか使い道間違ってるよ、バカだね」
うんうん、とひとりで納得している瀬野を見る。さっき自分が考えていたこととまったく同じことを言ったから、少し驚いた。
「藤嶋君はそう思わない?」
「思う、けど」
「けど、なに?」
「別になんでもねえよ」
「そう? あ、新刊発売してる」
この女こんなにしゃべる奴だったか?
淡々とした口調で話す瀬野はどうもあの時の奴と同一人物とは思えなかった。
そういや、あの時は北なんと…めんどくせえな…北がべらべらしゃべっていたから瀬野が大人しく見えたのかもしれない。
瀬野は女ものの雑誌を手にとると、またぱらぱらと中身を見ていた。
視線が同じくらいだったから、多分身長は同じくらいだろう。俺が163㎝だから、多分女では高い部類に入る。
「服欲しいな……藤嶋君はどれが欲しい?」
女ものの雑誌を見せて尋ねてきた。そのページにはシンプルなワンピースがずらり。バカにしてんの?
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