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「欲しいも何もそんなもん着ねえから」
「藤嶋君似合いそうなのに…」
似合うかよ!
なんだコイツ。わけわかんねえ。
瀬野はその雑誌を買うことにしたのか、それを左腕に抱えると今度はヘア雑誌を見始めた。男用の。
「この髪はどうなの、かっこいいのかな。寝起きみたい」
ふーん、とひとりで納得しながら気に入らない髪型に文句をつける。何がしたいんだよ。
俺はもうめんどくさくなって、本屋を出ようと手に持っていた雑誌を元の場所に戻した。
すると、その様子に気付いた瀬野がこっちを見て、雑誌の中に並べられた一枚の写真を指差して見せてきた。
「この髪型、藤嶋君に似合いそう」
「だからなんだよ」
「別に、それだけ。ただ似合うなと思って」
そう言うと、瀬野はまた雑誌を見始めた。
さっきの見せられた写真の髪型は、やや長めの跳ねた髪型に明るいブラウンの髪色。
確かにクセで毛先が跳ねてはいるけど、髪は真っ黒な俺には程遠い髪型。
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