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似合わねえだろ。つか、そんだけ明るい髪をした頭の軽そうな自分が想像できない。
眉をひそめて、自分の前髪を引っ張って真っ黒な髪を見ていると、いつの間にか雑誌を元の場所に戻していた瀬野が俺を見て笑っていた。
「……なんだよ」
「なんでもないよ。ただなんだか藤嶋君ってかわいいな、と思って」
「は? どこがだよ」
「なんとなくそう思っただけだから、どことかはわかんない」
なんだよ、それ。
不服そうな顔をした俺を見て、瀬野はさらに笑った。
そっけなく返しても、さらりと返事をしてくる瀬野に、自分のペースが崩されているのがわかった。
調子狂う……。
結局、最後まで、瀬野に調子を狂わされっぱなしで少し苛立ちながら本屋を後にした。
帰り道、携帯の電源を入れた途端かかってきた、由貴からのSOSをストレス発散に利用してやった。
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