本屋

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 それから何度かあの本屋で瀬野に会った。  瀬野は、俺を見つけると声をかけてきた。それは三十分以上からんできたり、五分もなかったりとバラバラで。声をかけてこない時もあった。  顔も猫みてえだけど、性格も猫みてえな、奴。  っても、まあ、そんなことも夏休みの間までだった。  本屋には大抵、昼間に行っていたから、学校が始まれば自然と会うこともなくなっていた。  二学期が始まると、教師達は受験に対してますます口うるさくなって、部活を引退した奴らが今までさぼっていた分を取り戻そうと必死になったり、それに影響された奴らも焦り始めたりしていた。  受験生、という言葉が目立ち始める。  この頃から、父親や母親の進学校受験に対する言葉も増えていった。めんどくさい。  言われてやる気が起きるわけでもなく、結局変わらない時間を過ごしていた。  あ、制服が半袖から長袖に変わった。
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