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「やば、もうこんな時間! えっと、あー……じゃあ、これに今度空いてる日でも連絡して。モックでもなんでもオネーサンがごちそうしてあげるよ」
瀬野は鞄から取り出した手帳の1ページを切り取ると、何かを書いて、無理矢理渡してきた。
にっと、笑うと瀬野は本を持ってレジへと向かっていった。
手の中にある小さな紙には、アルファベットと見たことある携帯会社の名前。
視線を手元から、レジへと向けると、すでに会計を済ませたらしい瀬野が俺に気付いて、小さく手を振った。
なんなんだよ、あの女。
俺は手元にあるメアドにもう一度視線を戻す。
もちろん送る気なんてない。つか、あいつメアドこんな簡単に渡していいのかよ。
その場で捨てることもできず、とりあえず、くしゃりとさらに小さくすると、肩にかけていた鞄の中に乱暴に突っ込んだ。
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