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金曜日。3時間目終了後。
「竜ー! 俺次の数学当たってんの! ノート見して!!」
社会の江波が教室を出た途端、由貴は慌てたように席を立って俺の机の前にやってきた。
手に持っているのは「スウガク」と、表紙にきたねー字で書かれたノート。
数学くらい漢字で書けよ。
「自業自得だろ、自分でやれよ」
「ムリムリムリムリ!! 頼むよ竜ちゃーん、俺次できねえと、マジで居残りさせられる!」
由貴は情けねえ顔で詰め寄ってきた。うぜえ。
これ以上あしらっても意味がない、と考えると俺は机の横にかけている鞄を指差した。
「こんなか入ってるから勝手にとって見ろよ」
「竜ありがとー! もう、マジ愛してる!」
由貴は気色悪いことを言いながら、意気揚々と俺の鞄を漁り始めた。
数学の問題は、昨日なんとなく気が向いてやっていた。勉強はめんどくさいけど、嫌いというわけじゃない。
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