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中学三年の夏休み。
八月中旬。蝉の鳴き声が耳につく。ただでさえ暑いのに、この鳴き声が暑さをさらに引き立ててるように感じた。
「わかんねー!!」
「うるせーよ。黙ってやれ」
何に影響されたのか、「今日のミッションは夏休みの宿題とする!」と騒いでいた由貴は、テーブルに突っ伏して、ない頭をフル稼働させて数学の宿題をしていた。
由貴の部屋は相変わらずの散らかり様で、ゲームの機械や奇妙な化け物のラジコン。CDに漫画。飲みかけのペットボトルが散乱していた。
こんな汚い部屋も通えば慣れるらしく、最初は窮屈に感じていたが今ではなんとなく落ち着くようになっていた。
落ち着くまでコイツの部屋に通った俺もどうかと思うけど。
由貴の前に座って、頬杖をつきながら、右手にもったシャーペンでノートに数式を書き込む。
由貴とは小二からの付き合いで、お互いなんとなく波長があったのか今でもこうやってつるんでいる。
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