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由貴の家は、母親の陽子さんと姉の友香さんの三人家族。
俺にも恵という姉はいるけれど、我が儘、傲慢を現したような女で、友香さんとは大違いだった。
「やっぱ飽きるー、もう無理! 『がんばれ八つ子』見てやる気になったけど無理だわ、俺には」
予想通り、昼の三十分ドラマに影響されて宿題をやる気になったようだけど、そこは由貴。案の定、すぐに飽き始めていた。
由貴の話では、八人の子供が机に一列に並んで宿題している様子に「俺も負けてらんねえ!」とやる気を出したらしい。
そのやる気も、三十分と保たなかったけど。
「つまんねー、な! 竜、駅前のモック行こうぜ! 暑い日はモクドシェイクに限る!」
「一人で行けよ、めんどくせえ」
「なんだよ! 冷てーな、行こうよー行こうよー楽しいよー」
うぜえ。
由貴はガキがだだをこねるように手を動かす。心底めんどくさいし、わざわざ炎天下の中、アイスかジュースかわかんねえものを飲むために外になんか出たくない。
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