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「申し訳ございません、つい先ほど切れてしまいまして……」
「まじでー……このためだけに暑い中来たってのに……」
売れてるために品切れなのか、もともと多く用意していないのかわからないが、店員は困ったような顔をして頭を下げていた。
由貴は、うなだれると情けない声を出した。恥ずかしい奴、たかがメロンシェイクくらいで騒ぐなよ。
由貴はがっくりと落ち込みながら、別のものを注文しようとすると。
「あの、これ、よかったら」
「へ?」
後ろから声がかけられた。由貴が振り返ったのと同時に後ろを振り返ると、そこには女が二人立っていた。
茶髪のロングにパーマをかけた化粧の濃い派手な女と、黒髪にショートにあまり化粧っけのないカジュアルな服を着た女。
声をかけてきたのは黒髪の女の方。
「これ、さっき買ったばっかりだし。まだ飲んでないから、よかったらどうぞ」
そういうと、女は持っていたトレイの上から、ジュースを由貴に渡した。
「え、これ…メロンシェイク? いや、いいっすよ。そんな悪いし」
さすがの由貴も戸惑ったようにメロンシェイクを女に返そうとした。
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