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「いいよ、試しに買ってみただけだから。メロンシェイクも好きな人に飲んでもらったほうが嬉しいって」
「え、まじですか…じゃあ、お言葉に甘えて」
女はやや強引に由貴にシェイクを押し付けると、にこりと笑った。
由貴も念願のメロンシェイクに嬉しそうに笑っていた。
見ず知らずの奴に声をかけて、譲ってやるなんてよほどのおせっかいか、バカだろ、と思いながら呆れた目でその女と由貴を見ていると、その女の隣にいた派手な女が声をかけてきた。
「君カッコイいねえ、いくつ?」
「……14」
「うっそお! え、じゃあ、中学生? 見えなあーい」
派手な女は近付いてくると、やたらベタベタと腕を触りながら上目使いで話しかけてきた。甘ったるい香水の匂いが鼻について、気分悪い。
それから、その女がせっかくだから一緒に食べようと提案してきて、メロンシェイクを譲ってもらって機嫌のいい由貴が承諾してしまった。
派手な女の名前は、北原加奈子。近くで見ると濃い化粧の匂いに気分が悪くなって、やたら甘えたような高い声になんだかイラついた。
黒髪のショートの女の名前は、瀬野美月。見た目は猫のようなつり目がちの目で、気の強そうな女。中身は由貴と話が合うような、チョットおかしいよく笑う女。
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