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「えー、じゃあ、二人とも東中生なんだあ。あたし達も元東中生なんだよお。ね、美月」
「うん。そうだ、まだ増田先生っている?」
「数学のますやん? いるいる、年々髪の心配が深刻化してっけど」
社交的というか、調子のいい由貴はすっかり二人に慣れたように話している。
俺は頬杖をつきながら、氷が溶けて薄まった炭酸の抜けたコーラをストローでかき混ぜていた。
帰りてえ……。
北原と瀬野は、東都大学の学生らしい。東都大といえば、それなりの有名大学だ。正直言って、こんな女でも入れんだって、バカにしていた。
「ねえ、竜くんって部活とかしてるの?」
「してない」
勝手に名前呼んでんじゃねえよ。
上目使いで見てくる北原にイラつく。もう限界。
「由貴、俺先に帰るわ」
「え、ちょ、待てって、竜!」
「ええー、竜君帰っちゃうの?」
紙コップを持って席を立つと、由貴は慌てた様子で立ち上がって追いかけてきた。
「あ、すみません! 俺も帰ります、メロンシェイクありがとうございました!」
由貴は律儀に礼を言った後、二人の女に手を振っていた。
こういうとき、なんやかんやでバカ由貴よりも俺の方がガキだと感じる。
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