阿部さんと一緒

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「どうだ……すごいだろ? 俺の娘。2つとも刺激したらあんなんなっちゃうんだぜ?」 ルルたんの笑い声に震え上がる俺の肩をポンと叩いて、タスマニアンはボソリと言った。 「……ブラック死ぬんじゃね?」 「死ぬな、確実に。だからお前が居るわけなんだよ、ホレ」 するとタスマニアンはトレーニングルームの壁に、念のためにと置かれていた長門ちゃんを手にし、俺に差し出した。 「この場であいつ止められんのお前しかいないわ」 ふwwwざwwwけwwwんwwwなwww 「バーローwwwwwww自分の娘の落とし前ぐらい自分でつけやがれってんでぇいwwwwwww」 「えー、やだよ。だって2年前、あの状態になった瑠琉を止めようとして俺、肋骨3本、腕、アキレス腱やられてちょっと生死の境さ迷ったもん」 (゚-゚)アンタデソノザマカヨ……。 俺が軽く言葉を失っていると、ブラックが動き出した。 前屈みの低い体勢で一気にカオスルルたんの懐に飛び込み、木刀を左斜め上に振り抜いた。いや、正確には振り抜こうとした。 「なっ!?」 ブラックの木刀は加速する直前にルルたんの左手に掴まれ、完全にその勢いを殺された。そしてルルたんはそのまま掴んだ木刀を握力で握りつぶして、へし折った。 えっと……18歳の女の子……。 「ほら、まずいだろ? だから行ってこいニート」 「嫌だwww嫌だwwwwまだ死にたくありませんwwwwwそれに僕じゃ無理ですwwwww」 「ニート!! 自分を信じなくていい! その代わりお前を信じる俺を信じろ!」 兄貴ッッッ!! やかましいわwwwwwwwwww 木刀を砕かれたブラックは茫然自失と言うか、そんな顔してる。そんなブラックの胸に不気味に笑いながらルルたんがゆっくりと右手の握り拳を当てた。するとその光景を見ていたタスマニアンがいきなり叫んだ。 「ブラック!! それを喰らうな!!」 ダンッ!! タスマニアンの叫びが終わるのは待たずに、いきなりブラックは後方へと吹っ飛ばされアクリル板的なものにとんでもな勢いで叩きつけられた。ルルたんのパンチに全く加速はつけられていなかった……。 寸頚ッッッ!!(ワンインチパンチ) よもや烈さんばりの中国拳法のたしなみがあるとは……。
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