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じわじわと効いてきやがるぜ……楓ちゃんのボディーブロー。
脇腹を抱えて、オームのごとく群がるゴミのような人だかりを今度は全員である程度固まって歩いている。
「ニート……ちょっと来なさい!! みんな、先に行ってて」
突如前を歩いていた零たんが俺の腕をガッと掴んだ。
「なんだってんだい!?」
すると零たんは人混みの中で立ち止まり、とある一角を指差した。その指の先にはなんかの特集を組んだ商品がいろいろ置いてあるブースがあった。
「あれは……テディベア特集よ」
「熊がどしたの? 俺、熊とか三毛別羆事件をググって以来トラウマだから、嫌いなんだよ」
「うるさい!!」
零たんは辺りの空気がビリビリってなる程に馬鹿でかい声を出した。あまりの声量にご来場のお客様がドン引きでございますwwwww
「ニート、これだけは覚えておくといいわ。あたしはこの世界に入る時に、女である自分を捨てると誓った。けど、そんなあたしも女に帰る瞬間が二回あるの。一つめは惚れた男と二人きりになった時、そして二つ目は!!」
そう言って零たんは、アマゾンから届いたアニメDVDをダンボール箱から取り出すまでの過程でワクワクしまくってちょっとやばめな顔になっちゃうオタクみたいな表情を浮かべて走り出した。
「テディベアを目にした時よ!! キャー!!」
少女のような黄色い歓声を上げて零たんは駆け出した。あんたがテディベアってwwwwwwwww走って行った零たんは人混みに流されて変わっていってしまい、俺はそれを遠くから見守っている格好になった。
「おーい! そんなに走ったらぶつかっちゃうって!?」
ドン!!
あぁー言わんこっちゃない……。零たんは知らない男の背中にぶつかり尻餅をついた。
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