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「舌でとろけた!! やばい!! 零! とろけるよ!!」
「ったく落ち着いて食べなさいよ。口の端にご飯粒までつけて」
希理人と零は俺のおごり最高級本マグロを口にしながら、イチャイチャフィールドを展開しやがった。口につけたご飯粒食うとか……たまりません。
俺はそんなラブラブな二人を悶々とした気持ちで見つめながら、カッパ巻きに舌鼓をうっていた。キュウリうめぇって……自分にいい聞かせながら。
「お前らっていつからそんないい感じになった訳?」
俺はガリを適当につまみながら二人に視線を送る。すると零は急に顔を赤くしながら手をバタバタさせたり、座ったまま軽く跳ねたり、なんかバタバタし始めてな。うん……凄く……可愛いです。
「い、いや! 私は希理人は全然そんなじゃないというか!!……いやそれは流石にごにょごにょ……いい感じというかなんというかごにょごにょ」
もう零は急にモジモジしちゃって全然聞き取れなかった。そしたら希理人がなんてこたねぇって顔でしゃべり始めた。
「零ね……二人きりになると俺にめっちゃ甘えてくるんすよ? 色っぺぇったらありゃしねぇ」
「なん……だと!?」
「なっ!! バ、バカ!!それ以上喋ったら殺す!! 殺すんだから!!」
「しかも零ってばもうね……めっちゃフ」
メッシャァアアアアア!!
希理人が何かを言い出そうとした所、荒木ばりのなんとも言い難い効果音が聞こえてきた。
気づけば目の前の希理人の顔が変形していた。なんというか頬の辺りにラディスでも喰らったんですかみたいな感じでえぐれてた。明らかに整形外科にいかないと行けない感じだ。
あれだ……誰にでも分かりやすいように説明するとCLANNADの智代ルートで64コンボに成功した後にもう一回智代ルートに入って、凶悪化した智代の攻撃を喰らった春原みたいな顔してたんだわ。
その時の零の顔は……思い出したくない。
なんて言えばいいかわからなかった俺は、なるべく気をつかってこう言ってやったさ。
「希理人……舌でとろけるんですね、わかります」
その台詞の直後世界が暗転し、俺は深い闇へと落ちていった。
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