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「方針変更、この先は全部レッドに任せる。頑張れ、以上」
なんの脈絡もなく、隊長がそう言った後にあたしたちを囲むように見慣れた黒ずくめの連中が現れた。
隊長の言葉の真意を掴めないまま事態は急転してみせる。
たった三人なのにまるで腹を空かせた猛獣に囲まれたようなプレッシャーを感じる。
さっき隊長が言ったことを考えてみると……。
「隊長、これを一人で……?」
「問題あるか? 俺だぞ、きらっ☆」
隊長は全くいつもの調子で馬鹿みたいな事を言ってみせた。一人一人が化け物じみた能力を持っているのが三人もいるっていうのに……それを一人で。
私は一つため息をついて隊長に苦い笑いを向けた後、困惑するみんなに声をかける。
「ここは隊長に任せて私たちは進みます。隊長が隙を作ってくれるから、各自見逃さないように」
「なっ!?」
「乱心!?」
「零さん、そんなの!?」
案の定の反応が返ってきたけどその刹那、隊長が私の視界から消えた。
次に聞こえたのは、肉が裂けて血が吹き出す音。
「俺を……俺たちを誰だと思っていやがる。ギガァアアアア……ドリリュゥゥウ………ブレゴホッゴホッ!!」
目の前には黒ずくめの一人の背後に周り、右手をそれの腹に深々と突き刺している隊長の姿。
何言ってるのかわからないし噎せてたけど、相変わらずスイッチ入ったら容赦ないわね……。
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