鳩山があかね色に染まる坂の主人公に見えて仕方がない

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「自己紹介が遅れましたね、ミスター田中。私の名前はリブラと申します。以後お見知りおきを」 そういって黒フードを脱いで、現れたそいつの顔は大層な美人だった。長い黒髪を一つに纏めてポニーテールにしてあって、なんかすごくおじさんのツボで。ただどこ見てるかわかんね、あの瞳が気に食わない。 そしてリブちゃんが自己紹介してる間に後ろから襲いかかってくる早漏野郎が一人、俺は気配で察知し、それをなんなく横に避ける。 視線をそちらに向けると、斬馬刀的なぶっとい刀が地面をめっちゃえぐってた。当たれば即死だろうけど、こんなもんが俺に当たると思ってんのか、こいつ? 「そして、そちらがカプリコーン」 死んだ魚の目をしたリブちゃんが声色一つも変えないで、仲間の自己紹介を続ける。攻撃の衝撃でフードがめくれてあらわになった顔は中学生かっていうぐらい幼い顔をした女みたいな綺麗な顔した少年だった。少しボブっぽい黒髪がキュートだった。 「死ぬやつに自己紹介したって時間の無駄だよ、リブラ。すぐに何もわからなくなるんだから?」 少し離れた所から若い女の声。視線を向けると、両手にダガーを持っていて結構なスピードで俺に向かって突っ込んできた。 「全くだな」 俺はそいつが攻撃のモーションに入る前に両手を掴み、勢いを殺す。 「俺は無駄なことは嫌いな主義だからな、自己紹介は辞めとくわ」 そして両手を引き寄せ、腹に膝蹴りをかます。 「ミスター田中、あなたが今捕まえているのがアリエスです。以上3名であなたのお相手を務めさせて頂きます。」 普通の人間なら確実に気絶する勢いでかましてやったんだが……。 「フフフ、さっきからあんたの攻撃軽すぎんのよ?」 目の前の茶髪ショートカットのロリ顔はしてやったりな顔で笑ってやがる。 効果なし……ね。プライド傷つくな、おい。
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