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「おっと、手が滑った」
俺は武器を破壊した後、すぐさまカプちゃんとやらの懐に潜り込み、さっきの奴と同様に背骨残して腹を一閃した。
長らく忘れていた感触だな、肉を裂くというこの忌ま忌ましい感触。しかもこんないくら不死身とは言え、見た目は年端もいかなそうな奴らを……。
「まぁ、関係ねぇけどな」
俺は地面に伏して動かない、まずはカプリコーンとかよばれたガキの上で刀を振り上げた。
「頭グッチグッチャに潰れたらさすがに死ぬよな……それじゃあ来世で頑張れよ」
俺は躊躇せずにルイズを振り下ろす。
しかし、ルイズうわぁああぁクンカクンカ、スーハースーハー、あぁモフモフ(ryは途中で止められていた。
目の前にいるリブラとかいう奴によって。
この俺が今の今まで気づかなかった……。20m以上はあった間合いを一気につめられ、あまつさえルイズを握られるとは。
あの二人とはさらに格が違う……ってか。
リブラはその空虚な瞳でじっと俺を見つめている。握られているルイズがピクリとも動かない。
その時、体中に激しい悪寒が走った。……こいつのこの不気味な感じ、初めてじゃない……知っている、この感覚。
「少し腕が衰えたのではないですか、二年前のあなたはそれはそれは今以上に悪魔のような方でしたのに」
頭に鈍器で殴られたような衝撃が走った。こいつは……。
「あの時はこのフードを被ったままでしたからね。流石に気づくのに時間がかかりましたか。お察しの通りですよ、ミスター田中。私は」
「あなたの奥様を目の前で殺害した、張本人です」
奴の言葉が終わった瞬間、俺は握られていたそれを斜め横へとふりぬいた。
掴んでいた奴の右手の半分を切り落としたが、肝心の奴は目の前から消えていた。
「憎悪に塗れたすばらしい太刀筋でしたね。危うく私も切り落とされる所でした。だが少しばかり詰めが甘かったですね」
しくった。
恐らくナイフか。
目線を下に落とすと、俺の脇腹にそいつが深々と刺さっていた。血がジワリと滲み出している。
背中から声が聞こえる。激痛に意識が飛びかける。
「お疲れ様でした、ミスター田中」
意識が混濁していく。俺は目の前の妻の仇も殺せねぇのかよ。
「しばし安らかな眠りを」
そして何もわからなくなった。
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