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日が完全に沈んで。辺りが暗くなってもうなんのこっちゃわかんない。
どんだけ走ってもおっさんの姿は見当たらない。変わりにあるのは、気絶した雑魚敵の連中。止めをさしてない辺り多分零たんたちがやったっぽい。
おっさんは多分傷だらけの体でどこかに向かっている。なぜならば、さっきの多すぎて安心できないゾーンから血痕が中央の廃ビルに向かって残っているから。
何があのおっさんをここまで駆り立てているのかわかんねぇけど、早く止めなきゃ死んじまうって……。
「正くん、もう一回だけ言うよ」
腕の中にいるヴァルゴたんが思いつめた声で、俺に話し掛けてくる。
「あのビルにはボクの仲間、みんなが揃っている。もしこのまま行ったら確実に死んじゃう……ここであの人たちを見捨てたら君は絶対に助かる。正くんが行ったってもうあの人たちは助からない!! だから、だから……お願いだから逃げて」
何故ヴァルゴたんはこんな泣きながら敵の俺に、こんなことを言ってくれるのだろうか。
うはwwwwwwwボクちんなんて罪作りな男なんでございましょうかwwwwwwwヴァルゴたんテラスプラッシュwwwwwwww
見捨てたら、ね……。
ヴァルゴたんの言葉に答えず走り続けた俺の目の前に現れた巨大な廃ビル。入口付近には敵の兵隊さんが気絶しまくり。それ以外は誰もいない。
俺は廃墟の物陰にヴァルゴたんを、そっと下ろした。
「死にたくないよね……そりぁ、死にたくないよ、俺。だってまだ妖精だもん。けどさ……」
泣いているヴァルゴたんに俺は笑顔を作ってみせた。
「けど、ここで逃げたら、俺は一生俺を許せなくなる。もう馬鹿笑いできなくなっちゃうよwwwwwwそんなの俺じゃないんでwwww」
「ありがとう、ヴァルゴたん。もし生きて帰ってきたらデートしようぜ」
どうしようwwwwwwこれすごい死亡フラグなんですけどwwwwwww
俺は廃ビルのてっぺんを睨みつける。
「行くか、長門」
「WRYYYYYYYYYYYYYYYYYY!!!!!!」
ちょっとかっこよすぎじゃね、俺?
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