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「何意味のわからないこと言ってんの……みんなを……希理人を殺したのは……あんたじゃない!!」
私は激昂しながら、レイヴンを睨みつける。
夕闇が頭上に広がってきていた。黒がかった橙色の空が。
そのせいか、やつの不気味な笑顔がより一層狂気じみたものに感じられた。
「それは確かに。君の上司やら同僚を殺したのは私。だが残念ながら希理人は違う……ククク、なぁ、そうだろう?」
奴は私の後ろにいる隊長に実に楽しそうに話しかけている。
「あの日、私が今ここにいるリベリオンのほんの二、三人と密かに私設していた軍隊を連れて君らを襲撃した、ほんの数分前に。彼は殺されていたよ。施設の人気の少ない会議室で。心臓を一突き、恐らく後ろから、外傷は他になし……この手口君なら良く知っているだろう?」
その殺し方は隊長がよく使う……。
「彼は利用した訳だ、私を。ククク……最愛の妻が殺されたその日までもを、君を欺くために。この意味わかるかい……?」
「彼は知っていたんだ!! 私が襲撃するということを事前に!! だが、誰にも伝えなかった……何故なら、希理人殺しの証拠隠しのために!!」
「……嘘よ」
力無く呟いた言葉。地面に立っていることができなくなりそうだった。だけど、レイヴンは続ける。
「次の話だがね、零!? 君を殺そうという話だが、何もこれは田中の個人の意思じゃない! 上層部で決められた、そう! いわば政府で決められたことなんだよ。立花零を我々共々破棄するらしい!! アハハハ!! 決定事項らしいよ、零? なんでかわかるかい……?」
「零……君はもう人間じゃない。君の体にはコルラグス、私が作り出した彼らリベリオンと同じ血液が流れている」
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