別離

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駅に着き、谷口の家の最寄りの駅までの電車を確認したら、あと10分待たなければいけないらしい。 まぁ、優一が追いかけて来ることはないから、ゆっくり待とう。 駅のホームにあるベンチにドカリと座った。 電車を待つ間、いろいろと考えた。 5年間付き合ったのに、終わりがこんなに呆気ないとは思わなかった。 少なくとも俺は、…幸せだったのに。 最近は、お互い帰りが遅くて、ろくに話しもしていなかった。久しぶりに今日早く帰れたと思ったら、これだもんな。…丁度よかったと言えば、丁度よかった、のか? 幸せだったあの頃を思い出した。 あー、なんか、目から鼻水が………。 「……たっ!…壮太!!」 俺を呼ぶ声に、心臓と肩がビクリと跳ねた。 振り向かなくても、分かる。 駅の改札口の前で優一が息を切らせて立っていた。 単純に、追いかけてきてくれたことが嬉しかった。だけど、そう思ったのも一瞬で、俺は冷静に返事をした。 「…なに?優一」 俺の冷静な態度が気に入らなかったのか、些かムッとした表情をした。すると優一は俺から見えない場所に隠れ、しばらくすると改札口を通ってホームに入ってきた。 あぁ、切符買ったのか、なんて…ちょっと現実逃避気味に思った。俺が座っているベンチの前まで来た優一が、まだ俺にムカついているのだろう、不機嫌そうに言った。 「…どういうこと、だよ」 …あ、不機嫌なわけじゃないのか。 戸惑っている時も眉間にシワを寄せる優一の癖は、6年見てきたから分かる。
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