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いつかは、こうなるって予想してたじゃないか。
なのに、なんだよ。
なんで…なんで………
こんなに………
───胸が苦しいんだ。
「さっきの女は好きな人じゃない。ちょっとしたストレス発散。………あの人には、随分前にフラれてんだ。でも諦めらんなくて、ずっと追いかけてる」
優一が、説明してる。
なのに俺は、どこか上の空で、優一の声がただ耳に入ってくる感じだった。
内容を理解できる余裕が、今はない。
「壮太には…何度も言おうと思った」
自分の名前を呼ばれて、はっとした。
「でも俺が他に好きな人ができても、壮太なら許してくれるんじゃないかって…そんで今まで通り一緒に暮らして、友達として付き合ってくれんじゃないかなぁって…どこかで思ってた…」
ゆっくり優一を見上げた。
「………違ったよな」
そんな顔、お前がすんなよ…。
「俺、平気…だよ」
俺の強がりが勝手に唇を動かした。
「優一が俺を本気で好きだとは思ってなかったし、いつかこうなるのは想像できたし、そ、それに、別れようとは思ってたし、だ…から、平気」
自分に言い聞かせるつもりで言ったのに、なんで。
「へい、き、…だってば………!!」
なんで……
涙なんか出るんだよっ…!
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