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そんな馬鹿はほっといて、“友達”だと言い切った俺は、最低限の荷物を持って部屋を出る準備をした。
優一と女は、俺がテキパキ動き出した様子を、ポカーンと擬音が付きそうな顔で見ていた。
しばらくの間、黙って見ていた優一は、何かに気付いたようにハッとして聞いてきた。
「なに、やってんの?」
…愚問だ。
「は?見て分かんない?出てくの。あ、今月の家賃、ここ置いとくな。じゃ、今まであんがと」
紙袋ひとつ分くらいの荷物を持って、優一と優一の浮気相手を残し部屋を去った。
────出会いは6年前。
高校の入学式。
俺、橋本壮太は中嶋優一に一目惚れした。
それから親友と呼べるくらいまで仲良くなるのに、あまり時間はかからなかった。
性格は全然違うのに、どこか気が合って。
好きだった事を1年くらいは隠していたけど、隠しきれなくなって俺から告白した。
男に興味はないけど、お前ならいいよ、と…流されたような曖昧な返事をされたけど、それでも嬉しかった。
高校を卒業してから、なんとなくで一緒に住むようになった。
それから数年…で、今に至る。
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