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潮時なんだ…、きっと。
俺と付き合ったのは、面白そうだったからとか、多分そんなところなんだろう。いつものアイツの気まぐれ。
それでも良かった時期は、数年前に過ぎた。
そんな関係が5年も続いた方が不思議なんだ。
多分アイツは追いかけて来ない。
引き止めもしなかった。
いや、突然すぎたから驚いてどうにもできなかったか?
…なんて、自分自身に嘲笑して、ズズっと鼻をすすった。
泣いてねーよ。
寒いから寒いから。
…自分で自分に言い訳。
かっこわりぃ…。
「あ、谷口?今日、お前ん家泊めて」
駅までの道を歩きながら、高校時代からの友達、谷口に電話をかけた。
高校時代からと言うことは、優一を知ってるわけで。
『は?……あぁ、まぁー…、いいけど』
俺達がどういう関係かも知ってるのに、なんも聞かないでくれる。
昔っから、優しい谷口。
「…俺、谷口好きになれば良かった」
なんで、俺、アイツじゃなきゃ、優一じゃなきゃ、ダメなんだろ…。
『ヤメロ。俺は女の子大好きなんだ。俺なんか好きになってみろ?有無を言わさずソッコーふってやるよっ』
電話の向こうで、親指立ててる姿が想像できて笑った。
「はは、だーよなー。お前は男にゃ冷たいよなー」
でも、きっぱりフってもらった方がいいような気がする。
アイツは無駄に期待させやがって…。
全然、優しくねぇ!
「とりあえず今から行くから~」って言って電話を切った。
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